こんにちは、石本です。今回は、ディファレンシャル・ラーニングについて学んでみました。
1.ディファレンシャル・ラーニングとは
ディファレンシャルとは差動装置のこと。差動装置とは2つ以上のものの、その差や和を取り出し1つの部分を動かすようにすること。
例えば、車で右に曲がるとき、右のタイヤと左のタイヤは同じ回転数で同じ負荷で回っているか。というときに、外側の方が内側より速くなる。タイヤへの負荷は変わってくる。
つまり、その力加減を調整してくれるのがディファレンシャルというもの。
(参考動画)
ラーニングとは学びのこと。
試合中に行われる複雑な動きを習得するためにはこのディファレンシャルというものが重要になる。対面でキックを行い、シュートの練習を反復する。
これは伝統的なトレーニング方法だが、試合では同じ場面があるとは限らない。
だが、試合での動きは似たような場面はあるものの、全く同じ場面というのはまれである。
ディファレンシャルラーニングでは、いろいろな環境の中で複雑な動きを可能にするトレーニング。
質や量の違ったトレーニングを行うことで、身体に受ける刺激に変化が起き、いろいろなトレーニングの中から自身の最適な動きを習得できると言われている。
・次々と動作を変化させる
・同じトレーニングを繰り返さない
・コーチングで修正しない
・選手自ら気づくことを促す
オシム監督が同じトレーニングをしない、答えを言わないと言われていた理由が分かりますね。つまり、選手が自ら気づくことで、最適の動きを習得することが可能となるということで、遠回りのようで、現場での解決能力が身につくということになります。
2.効果について
効果については、伝統的な繰り返し何回も同じキックトレーニングするよりも、パススキルトレーニング、シュートスキルトレーニングを組み合わせた方が、実際にパススキルとシュートスキルが向上したと効果があったと検証もあったようです。
実際に自チームのトレーニングでも伝統的な繰り返し同じトレーニングよりも、試合状況で起こるようなバリエーションからのパス、シュートトレーニングの方が効果がありました。
変化を加えながら、トレーニングしていくことを「反復なき反復」としてトレーニング。「正しいプレーをするために正しくトレーニングしない」という言い回しがこのトレーニングの哲学となっているようですが、正しいトレーニングというのは伝統的な反復練習のことで、より刺激を与えるために、変化を加えることを反復するということが分かりやすいかと思います。
・自立性(解決能力)
・状況判断&適応能力
・バリエーションへの対応
・プレー原則、ゲームモデルとの関連
・パフォーマンス向上
・障害予防
3.サッカー以外の応用
サッカー以外にも応用が検証されています。子供の2つのグループに分かれ15日間歯磨きをします。
・逆の手で磨く
・重り付きのリストバンドをつけて磨く
・テニスボールを持ちながら磨く
・目隠しをして磨く
・GKグローブをして磨く
・両手で磨く
などで検証。
実際にはBグループの方がきれいに磨けていたと結果がでたそう。それはなぜでしょうか。
考えられるのは自己組織化学習がされたとのこと。自己組織化学習とは、幼児が教えなくても言葉が話せるようになっているように、自分で整理し、理解できるようになること。
意図的に正しい道から外れるようにすることで、条件や環境が変わっても一貫して行動できる能力が身につくということですね。
おわりに
サッカーはサッカーをすることでうまくなると「戦術的ピリオダイゼーション理論」があり、要素だけを取り出す、要素還元の「フィジカル」「戦術」「技術」「メンタル」といった分け方があり、今回のディファレンシャル・ラーニングはサッカーはサッカーをすることでうまくなるという考え方の元、変化による刺激によって導きたいことを選手が自然と身についていくトレーニング。
考えるためには、考えなければいけない状況をつくるということで、自己組織化学習ということがポイントだということでした。
本質は何なのか、原則は何なのか、相手がこうするから自分はこうというようなことを自分で選択することができる能力がサッカーにおいて、人生において必要になるだろう。
簡単にいえば、テーマは決めるものの、同じことを練習するよりも、飽きないようにルールづけなどで工夫しながら練習することで、勝手に習得できるようにすることかなということですね。
一言で言うと、「練習するな遊べ!」
ということでしょうか。
(参考)
・フットボリスタ2022年3月号
・サッカーの原則FootBall PRINCIPLES
・オシムのトレーニング
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